米Element Biosciences、1回100ドルの低コストDNAシーケンサー開発

Photo: Element Biosciences

米エレメント・サイエンス、DNAシーケンスの常識を覆す新たな挑戦

米カリフォルニア州のバイオテックスタートアップ、Element Biosciencesが、DNAシーケンサー市場の支配的企業であるIlluminaに真っ向から挑む状況が注目されている。同社は、研究用途の高スループットシーケンス装置「VITARI™」を発表し、1回あたり$100という低コストでの全ゲノム解析を実現しようとしている。これは従来大手が提供する装置と比べて1人のヒトゲノム配列取得コストを大幅に引き下げる可能性があるという点で、業界内外の関心を集めている。

「VITARI」は、1回のランで最大100億リード(約3TB)のデータを処理でき、高品質な全ゲノムシーケンシングが可能なベンチトップ機器として設計されている。Elementによれば、この装置を使えば1人分のゲノム解析を約100ドルで提供可能であり、これまで膨大な設備投資や専門施設が必要だった高スループット解析を、より多くの研究室が実行できるようにする意図だ。装置本体価格は約689,000ドルで、2026年後半の出荷開始を見込む。

同社は2017年の創業以来、世界40カ国以上の研究機関にシーケンサや関連技術を提供してきたといい、AVITI™やAVITI24™といった多様なプラットフォームを持つ。独自の技術基盤を強みに、「高品質」「柔軟性」「手頃な運用コスト」の三拍子を備えた製品展開を進めている。公式サイトでも、Elementのミッションは「高品質な解析を低価格で可能にし、科学の発展を加速すること」と明示されている。

業界の王者との競争と法的対立

VITARIの登場は、Illuminaとの市場競争を一段と激しくする。大型機器市場で長年トップに立つIlluminaは、独自のシーケンシング技術と幅広い製品ラインナップで世界シェアを維持しており、多くの大規模ゲノミクスプロジェクトで採用されてきた。Elementの挑戦は、この既存の勢力構造を揺るがす可能性を持つ。両社間には訴訟を含む法的な応酬も生じており、特許権や市場支配のあり方をめぐる争いが続いている。この競争は単なる製品比較にとどまらず、ゲノム解析の価格とアクセスの改善を目指す科学界全体の動きとして注目されている。

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