Cowboy Space、2万基のAIデータセンター衛星構想を申請

Photo: Cowboy Space

地上の電力制約を回避し、「宇宙コンピュート」時代へ

米宇宙スタートアップのCowboy Spaceが、最大2万基規模のAIデータセンター衛星群「Stampede」を構想していることが明らかになった。米FCC(連邦通信委員会)への申請によれば、同社は低軌道上にGPU搭載衛星を展開し、宇宙空間でAI計算処理を行うインフラを構築する計画だ。同社は、Robinhood共同創業者のバイジュ・バット氏が2024年に設立したAetherfluxを前身としており、2026年には「Cowboy Space」へと改称。最近では2億7500万ドルのシリーズB調達を完了し、軌道上AIインフラ事業へ本格的に舵を切った。

「シリコンを太陽の近くへ」――AI時代の新インフラ思想

Cowboy Spaceの最大の狙いは、地上データセンターが直面する電力・土地・冷却問題を回避する点にある。生成AIブームによって巨大データセンターの建設競争が加速する一方、米国では送電網接続の遅延や地域住民の反発、水資源不足が顕在化している。そこで同社は、「シリコンを太陽光の近くへ置く」という発想を採用した。宇宙空間ではほぼ連続的に太陽光発電が可能であり、地上の電力網を経由せずにAI計算資源を稼働できる。衛星間をレーザー通信で接続し、巨大な分散型AIクラスターとして機能する構想だ。さらに特徴的なのは、同社がロケットと衛星を一体設計している点である。打ち上げロケットの上段そのものをデータセンター化することで、打ち上げコストと構造効率を最適化する考えだ。

技術課題は山積、それでも加速する“宇宙AI競争”

もっとも、軌道上データセンターには依然として多くの課題が存在する。宇宙空間では空気による放熱ができず、高性能GPUの冷却は極めて難しい。また、放射線耐性、通信帯域、打ち上げコスト、軌道デブリ問題なども未解決だ。それでも、GoogleやSpaceX、Blue Origin、Starcloudなども宇宙AIデータセンターを検討しており、競争は急速に激化している。Googleは「Project Suncatcher」と呼ばれる衛星AIクラウド実験を2027年に計画していると報じられている。AI競争がモデル性能から「計算資源確保」へと移る中、宇宙は次世代インフラの候補地として浮上し始めている。Cowboy Spaceの構想は極端にも見えるが、それは同時に、地上インフラの限界が現実になりつつあることを示しているのかもしれない。

Delivering energy to planet Earth
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