米ヘリオン・エナジー、1億5000万℃のプラズマ温度とD-T反応達成
米国の核融合エネルギー開発企業、Helion Energyは2026年2月13日、7代目プロトタイプ「Polaris」においてプラズマ温度の新記録となる1億5000万度(約13keV相当)の達成と、可測な重水素–トリチウム(D–T)融合反応の確認に成功したと発表した。これは同社がこれまで掲げてきた商用融合実用化に向けた重要な技術的前進を示すもので、民間企業として初めてD–T燃料での成果を公表した事例となる。Polarisは2024年末に稼働を開始し、この1月からD–T燃料での実験を継続していたが、今回のデータは同社ブログで具体的な数値付きで示された。1億度を超えるプラズマ温度は一般的に商用融合機の条件とされる目標値であり、同社はこの温度域の突破を通じて次段階の燃料である重水素–ヘリウム3(D-He3)融合に向けた技術的基盤を強化する狙いだ。
業界の反響 — 商用化への期待と技術的課題
Helionの発表は米国エネルギー省の融合エネルギー科学担当副局長やプラズマ物理の専門家からも評価されており、分析データの確認が進んでいるとのコメントが寄せられている。今回の成果は同社がこれまでの6代目機「Trenta」で達成した1億度突破の記録を大きく上回るもので、Fusion業界内でも注目度が高い。PolarisによるD-T反応と1億5000万℃のプラズマ温度は、商用核融合炉における重要なマイルストーンの一つとされる。とはいえ、科学的・工学的ブレークイーブン(投入エネルギーを上回る連続的エネルギー生成)や商用出力の実現、長期連続運転といった課題は依然として残されている。Helionが今後これらの点にどう取り組むかが注目される。
次のステップと商用展開計画 — 2028年実用化目標へ前進
Helionは今回の技術成果を足がかりに、2028年の商用融合電力供給開始を改めて視野に入れている。既に同社はワシントン州マラガに最初の商用施設「Orion」の建設を進めており、Microsoftとの電力購入契約(PPA)を締結済みで50MW規模の電力供給を目標に据えている。今回のプラズマ温度1億5000万℃は、この目標達成に向けた重要な証左と見なされているが、専門家の間には「まだ“電力ネットプラス”を実証していない」という慎重な声もある。HelionはPolarisで得られたノウハウを商用機に適用し、高い効率で電力を取り出す技術へ転換する必要があり、実用化ロードマップの進捗が今後の焦点となる。


