EU, 炭素除去のボランタリー市場で初の自主基準を採択

EU、世界初の「炭素除去」自主基準を採択

欧州連合(EU)は2026年2月3日、大気中のCO₂を永久的に除去するプロジェクトに対する世界初の自主的な基準(ボランタリー・スタンダード)を採択したと発表した。これにより、EU内での炭素除去技術の信頼性と投資環境が一段と高まることが期待される。新基準は、EUが2024年に成立させた「Carbon Farming and Carbon Removals(CRCF)規則」に基づく最初の認証方法論であり、同規則の実装段階に入ったことを示すものだ。

重点は永久除去と透明性強化

新しい基準は、CO₂を大気から永久に除去し、安全に貯留・固定することを目的としており、3つの主要な除去活動を対象としている。

  1. 直接空気回収と貯留(DACCS: Direct Air Capture with Carbon Storage)
  2. 生物由来CO₂回収と貯留(BioCCS: Biogenic Emissions Capture with Carbon Storage)
  3. バイオチャー炭素除去(Biochar Carbon Removal)
    これらは技術的成熟度や気候目標への貢献度を基に選択された。基準には、「1トンの除去量とは何か」「永久性をどう担保するか」「漏洩・責任問題への対応」などの明確な定義が盛り込まれ、グリーンウォッシング(見せかけの環境アピール)への対策も図られている。

欧州委員会の気候担当委員、ウォプケ・ホークストラ氏は「EUが炭素除去の取り組みで世界を先導する。明確かつ堅牢な基準を設けることで、企業や投資家が安心してプロジェクトを進められる環境を整える」と述べた。基準策定は、今後の炭素市場形成における重要な一歩として位置づけられている。

仕組みと今後の展開

今回採用されたEUレベルでの統一的な認証枠組みの設定は、企業や投資家が炭素除去プロジェクトに対して透明性・信頼性のある評価を確立するうえで重要だ。CRCF規則は2024年に正式採択され、今回の基準採用を通じてその実装が進展している。認証基準は欧州議会・理事会の審査期間を経た後、異議がなければ4月初旬にEU官報に掲載され、その20日後に施行される見込みだ。これにより、認証制度を活用したプロジェクトの登録・認証申請が可能になり、2026年内には最初の認証取得例が出る可能性もある。また、欧州委員会は炭素農業(Carbon Farming)やバイオベース建材における炭素貯蔵を対象とした追加の基準の策定も進めており、これらも2026年中の採択を目指している。

環境専門家は、今回の基準採用を通じて「EUが世界標準となるフレームワークを提示した」と指摘する一方で、実際の技術展開や大規模除去の実現性については引き続き課題が残る」との見方も出ている。長期的には、基準に基づいた認証制度が気候変動対策と経済活動の両立を図る新たなモデルになるかが注目される。

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