スイスのPlanetary、インドで低コストマイコプロテイン生産検討

Photo: Planetary

世界初の戦略的発酵パートナーシップへ

スイスのバイオマニュファクチャリング企業 Planetary SA が、インド最大級の砂糖加工企業の一つである Dhampur Bio Organics(DBO) と、マイコプロテインのインド国内生産・低コスト化に向けた協業検討を進めていることが明らかになった。今回の取り組みは、インドを世界的な生産拠点とする可能性を視野に入れたものだ。プラネタリーは、菌糸体を原料とするマイコプロテイン(菌由来たんぱく質)を工業規模で生産する発酵企業で、スイス・アールベルクにある砂糖工場併設の生産拠点を2025年に稼働させた実績を持つ。欧州では既に同社の菌糸体を原料とした製品が小売店で展開されており、従来の鶏肉と同等の価格帯で販売される例も出ている。今回の協業は、DBOが所有する砂糖原料の加工インフラを活用し、PlanetaryのBioBlocks™という独自の発酵プラットフォームをインドでライセンス供与する形で進められる予定だ。これにより、インド国内の副産物を有効活用しながら、1キログラムあたり1米ドル未満というターゲット価格でマイコプロテインを生産することを目指す。DBOのGautam Goel氏は、報道の中で「最終的な契約や規制当局の承認を前提としつつ、インド市場だけでなく輸出向けにもマイコプロテインを供給できる体制の構築を期待している」と述べた。また、インド向けには「マイコプロテイン強化食品」や「マイコ・ティッカマサラ」といった文化的に親和性の高い商品開発への活用も視野に入れているという。この取り組み背景には、世界的なたんぱく質需要の増大と価格上昇、そして発酵ベースの代替たんぱく質を低コストで供給するニーズがある。Planetary CEOのDavid Brandes氏は米国メディアの取材で、「インドの砂糖産業インフラは、原料やエネルギーコストが低く抑えられるため、安価なたんぱく質の供給拠点として最適」と評価している。

世界戦略の一環、巨大市場への橋渡し

この協業は、プラネタリーが掲げる分散型生産モデルの一部でもある。同社はBioBlocks™技術を自ら運用するだけでなく、世界各地の農工業パートナーにライセンス提供することで、投資負担を軽減しながら生産ネットワークを拡大する戦略を取っている。インドは砂糖産業が非常に大規模であり、糖蜜やバガス(バガス発電用燃料)といった副産物が豊富なことから、マイコプロテインの原料となる発酵糖資源の確保が見込める。また、労働コストやエネルギーコストの競争力も高く、サプライチェーンの効率化とコスト削減に寄与する可能性が高い。海外の代替たんぱく質市場では、米国や欧州を中心に菌糸体由来の素材が注目を集めており、シンガポールや米国の企業が規制承認を進める例も出ている。これに伴い、発酵技術を活用したモジュラー型の生産拠点構築は今後の成長分野になるとの見方が強まっている。

市場インパクトと課題

インドでの生産が成功すれば、世界の肉市場(1.3兆ドル規模)へのコスト競争力のある供給ルートが開かれ、Hybrid(混合)食品や代替肉・乳製品の普及を加速させる可能性がある。Brandes氏は「価格、味、持続可能性の全てを備えることで、伝統的な肉と実際に競合し得る」と述べている。一方で、同計画はまだ非拘束的覚書段階であり、最終的な契約締結や規制当局の承認、技術的な適応には時間を要する見込みだ。また、発酵食品の安全性評価やラベリング規制など、各国市場ごとの制度対応も課題として残る。

Planetary explores collaboration to unlock low-cost mycoprotein production in India
Market applications in India could include "mycoprotein-based protein fortification solutions and myco-tikka masala" say...
タイトルとURLをコピーしました