欧州電池スタートアップUniverCell、3000万ユーロ調達
ドイツの電池スタートアップ UniverCell は、シリーズBラウンドで約3000万ユーロを調達した。出資はドイツ政府系の気候・ディープテック投資ファンド DeepTech & Climate Fonds(DTCF) を中心に、計測機器メーカーのIKA、WIKAなどが参加し、欧州委員会系の European Innovation Council(EIC)ファンド も支援した。調達資金は、リチウムイオン電池の電極製造技術やセル量産能力の拡張に充てられる。2019年創業の同社はドイツ北部でギガファクトリーを運営し、宇宙機器や医療機器など特殊用途向けの高性能電池セルを開発している。現在は1.5GWh規模の生産能力を持ち、独自の電極製造プロセスやセル設計を強みとしている。
欧州電池産業の転換点
今回の投資の背景には、欧州電池産業を取り巻く厳しい環境がある。かつて「欧州の電池チャンピオン」と期待されたスウェーデンの Northvolt は資金不足と生産遅延に直面し、2024年に米国で破産保護を申請し、2025年にはスウェーデンでも破産手続きに入った。負債は約58億ドルに達し、欧州の電池自給戦略に大きな打撃となった。
同社の破綻により、カナダ・ケベック州など政府や投資家も巨額損失を被る結果となり、欧州の電池産業は「巨大ギガファクトリー中心モデル」のリスクを突きつけられた。
「巨大工場」から「高付加価値電池」へ
こうした状況の中で注目されるのが、UniverCellのようなニッチ用途向けの高性能電池メーカーである。同社は電極からセルまでを自社開発し、顧客仕様に合わせた少量多品種の製造に強みを持つ。自動車向けの巨大量産ではなく、宇宙、医療、ロボティクスなどの高付加価値市場を狙う戦略だ。欧州の投資家が今回の資金調達を支援したのも、電池サプライチェーンの独立性を確保しつつ、巨大投資に依存しない持続的な産業モデルを模索する動きとみられる。Northvoltの破綻が象徴するように、欧州の電池産業は現在、規模競争から技術差別化と専門用途へのシフトという新たな段階に入りつつある。

