米テラドット社、イーオン社を買収
2026年2月、米国のカーボンリムーバル(CO₂除去)企業 Terradot が、同じく強化された岩風化(Enhanced Rock Weathering、ERW)技術を用いるスタートアップ Eion の主要資産を獲得することで合意したと発表した。Terradotは自社の全世界的なERWプラットフォーム構築のため、Eionの知的財産、契約、プロジェクト基盤、運用能力やチームを統合する。買収により、米国とブラジルをまたぐ多様な地理的展開と技術的基盤を持つERW事業体が形成される見込みだ。Business Wireによれば、TerradotはEionの炭素除去契約100,000トン超を引き継ぎ、自社が保有する300,000トン超の契約と合わせ、合計400,000トン超のERW契約を有するプラットフォームを形成するとしている。これにより、より「デリバリー可能な大型ERW事業体」としての競争力を高める狙いがある。
今回の買収の背景
Terradot は、2024年設立のERW企業で、主に玄武岩(basalt)などの溶岩由来シリケート鉱物を粉砕して農地に撒布し、大気中のCO₂を化学的に捕捉する技術を展開している。同社はGoogleやMicrosoftなど大手企業から支援を受け、ブラジルを中心にプロジェクトを推進している。一方、Eion はオリビン(olivine)を主素材とする独自のERWで知られ、農地でのCO₂除去量を高精度に測定する手法を持つ企業として成長していた。AgFunderNewsの記事では、Eionが取得した初期のカーボン除去クレジットやデータセットがTerradotに統合されることで、測定・報告・検証(MRV)能力の強化につながるとの分析がある。こうした技術融合は、ERWが実証実験フェーズから産業的規模への転換点にあるとの認識を反映している。両社の統合が「実装力・資金調達力・長期契約の確実性」を高め、成長市場での競争優位性を創出することを目指しているとみられる。
市場インパクトと今後の展望
今回の買収は、CCS産業の統合・再編の兆候として受け止められている。複数のニュースソースは、資金調達環境の変化や大型契約への対応が大きな課題となっており、統合によってスケールが求められる市場構造が急速に進行していると指摘している。Terradotが強化したプラットフォームは、より大きな契約を引き寄せやすくなるだけでなく、世界各地での多様な土壌・鉱物・気候条件への適用可能性を高めると期待される。また、MRVの高精度化や農家との協業拡大により、透明性と信頼性の高いCO₂除去実績の提供が進む可能性がある。市場アナリストの間では、この買収が他のカーボンリムーバル企業にも追随を促す統合の第一歩になるのかが注目されており、今後の提携・買収が続く可能性がある

